がんとは
がんの進行
がんは日本人の死因の第一位です。またがんになる人は年間100万人、死亡数も37万人います。生涯ではおよそ二人に一人の割合でがんになる計算です。
細胞が傷つき、がん化すると、そのがん細胞の増加は加速度的に進行します。細胞分裂によって1個が2個に、2個が4個に……とねずみ算式で増加していき、約30回細胞分裂を繰り返すと、体の中にがん細胞の数は10億個程度になります。この時、がんの大きさは5ミリ〜1センチ程度になっています。この状態は早期がんと呼ばれる早い段階のもので、あっても軽い症状がほとんどです。
しかし、転移が始まりがん細胞の分裂があと10回繰り返されると、全身で総がん細胞の数は1兆個にもなり、その総重量は1キロ近くにも及びます。これは人を死亡させるのに十分な大きさとなります。
がんにおいては何か症状が出たときにはがんはかなり進行している場合がほとんどです。
このようにがんは恐ろしい病気ですが、病状に合わせて最適な治療を受けることができれば、改善の見込みが高まります。患者さまの状態や進行度合いに適した最良の辛くない治療を提案します。自分に適した最良の治療法を見つけることががん治療のたいせつなポイントです。
がんの発生と特徴
人間のからだは約60兆個の細胞からできていますが、細胞は日々増殖と死滅を繰り返して、新しい細胞と入れ替わっています。全ての細胞は同一の遺伝子情報(30億の配列)を持っています。遺伝子は生命の設計図とも言えるもので、生まれてから老いて死ぬまで、全身のすべての細胞が同じ遺伝子情報を持っています。
このような大切な遺伝情報を持つDNAですが、日々、化学物質や大気汚染、紫外線や放射線などの様々な要因で傷ついています。
しかし、DNAは損傷した部分を自己修復する機能をもっています。通常は完全に修復しないと分裂はできません。したがってDNAの修復が追い付かない場合、細胞は分裂できないので「休眠状態」になります。病気の始まりにこの状態が多くみられます。次に休眠状態が続くと「アポトーシス」と言われる細胞の自滅が起こります。このように正常な細胞では 損傷した遺伝子を持つ細胞が分裂する事を防ぎます。
このアポトーシス(細胞自滅)に深く関与しているのが、「がん抑制遺伝子」です。正常細胞はがん抑制遺伝子が正しく働いているため、遺伝子の自己修復が追いつかなくなっても細胞自体が自滅し、がん化を防ぐ事ができます。
しかし、がん抑制遺伝子に異常がある場合や、がん抑制遺伝子の働きが阻害された場合は、この損傷を持つ異常細胞を自滅させることができずに、異常細胞の増殖が始まります。これががんの始まりです。
通常の細胞は最大でも20~60回分裂すると活動を停止してアポトーシスを迎えますが、アポトーシスする細胞数の同等以上に増殖を繰り返しているので、細胞自体の全体数が減ることはありません。細胞数を一定に保つために、細胞増殖と細胞死のバランスを、増殖シグナルと細胞死シグナルが管理しているのです。しかし、がん細胞は、がん抑制遺伝子が正しく働いていないため、細胞増殖と細胞死のバランスを保つことができません。増殖を繰り返し「無限増殖」、細胞死することがなくなるため「不死」となるのです。
これこそががん細胞の最大の特徴と言えます。
がん細胞の6つの特性
がん治療のポイント
がんと宣告されてしまったとしても、標準治療の進化は目覚しく、遺伝子治療などのがん先端治療も強い見方になってくれます。たとえ末期がんであったとしても、最適な治療を受けることで、予後やQOLを向上させることも可能です。
がんは恐ろしい病気ですが、病状に合わせて最適な治療を受けることができれば、改善の見込みが高まります。現在受けている治療に相乗効果を示す、先端治療を追加することでより自分のがんに有効で適した追加治療を見つけることが重要ながん治療のポイントです。
発見時
がんは早期で発見される人から進行して見つかる人まで様々です。
発見された人のほとんどが標準治療を受けて、がんとの長い闘いが始まります。
がん治療において標準治療だけで乗り切れる方もいますが、手術できない人や手術しても再発してしまう方が多くいるのも事実です。がん治療において標準治療だけでは対処できない場合も多くあるのです。
遺伝子治療の強みは、早期から末期まで病期に関係なく、入院を必要とせずに治療が受けられることです。副作用もほとんどなくあっても軽度なため、標準三大治療と併用して行う人が急増しています。
見つかった時点では不安も多く、なかなか治療法を決定しづらいことも多いですが、その治療方針によって、予後やQOLも大きく変わってきます。がんになる前と同じような生活を取り戻すためにも、できるだけ体に負担をかけることなく、標準治療との相乗効果でがん細胞を有効的に死滅させることは非常に重要です。
手術前
最近ではがんの種類や進行によって、がん縮小目的やがん転移抑制の目的で手術前に抗がん剤を使用する場合があります。このような場合もがん遺伝子治療の併用が役に立ちます。
遺伝子治療は抗がん剤の弱点をカバーして抗がん剤との併用で相乗効果を示すからです。
手術はがん細胞を多く取り除く手段として最良であり、避けられないとしても、手術前から小さな転移巣を叩いて、より再発しにくい、体に負担の少ない治療をおこなうことは有効です。
手術前に遺伝子治療を受けて腫瘍を縮小させ、転移巣を攻撃して再発を防ぐことが大切ながん克服方法です。
遺伝子治療は、がん細胞を有効的に攻撃し、強い副作用もないため、体への負担もなく、こうした手術前の体力を温存しておきたい場面でも、効果を発揮してくれます。
手術後
がんに対して摘出手術をして手術後に再発する可能性がある場合には手術後に抗がん剤治療を行います。とくに進行がんでは手術前から転移していることが多く、せっかく手術をしても小さな転移が発達して再発するので手術後は抗がん剤や放射線治療をします。
術後の抗がん剤は全身に残った可能性があるがん細胞を減らしてくれ、時に消失してくれることもあります。
しかし抗がん剤にも耐性という弱点があり、抗がん剤が効き難いがん細胞も多数あります。手術後に抗がん剤を使ったにもかかわらず再発してしまう患者さまが多いのもこのような理由からです。
再発予防のために手術や抗がん剤に遺伝子治療や免疫療法を併用することをお勧めします。
遺伝子治療や免疫療法は、抗がん剤が効き難い全身のがん細胞にも直接作用するので再発の予防目的に効果を発揮します。
*遺伝子治療は抗がん剤や放射線治療の効果を増強します。
*ただし免疫療法は免疫細胞が、がん細胞を外敵と判断した状況下のみ有効的な治療となります。
再発時
標準治療では多くの場合、進行がんでは手術を終えて抗がん剤を使うことになります。抗がん剤はがん細胞を減少させるが、一方では抗がん剤に耐性を持っているがん細胞も存在します。手術後、辛い抗がん剤をして残存しているがん細胞を減少させても、その中には抗がん剤が効かないがん幹細胞などストレスに強いがん細胞が残り、そのがん細胞が徐々に増えて再発します。
このような抗がん剤耐性のがん細胞に対して有効的に働くのが、遺伝子治療や有効な免疫療法です。
再発がんの場合も同様に抗がん剤に耐性を持つがん細胞が多く存在します。抗がん剤に耐性のあるがん細胞の再発は抗がん剤に打ち勝ってきた根強いがん細胞の再発であり、この再発は抗がん剤が効き難い難治性の再発となります。このような難治性の根強い再発に対してもがん細胞に直接作用する遺伝子治療は有効です。
遺伝子治療は副作用がほとんどなく、さらに全身の耐性がん細胞へアプローチしてくれるので、三大治療では対処しきれなかった場合にも、体へ負担をかけることなく、標準治療との相乗効果でがん細胞を死滅させていくことができます。
体の状態が悪い、体力がない患者さんの場合も、遺伝子治療や有効な免疫療法であれば、苦痛や大きな副作用がないので治療を行うことが可能で、最後まで諦めることなくがんに対して治療を続けていくことができます。
末期
がんが進行して、体力が衰え、「標準治療ではもう手の施しようがない。」と言われてしまった末期がんの場合でも、遺伝子治療や免疫療法を受けることができます。がんがすべて消える可能性はありませんが、遺伝子治療によってがんの進行を緩めたり食い止めることで、食事をしたり、散歩をしたりなど、日常生活を取り戻すことが可能な場合もあります。
がんの進行を食い止めれば、がんと共存していくという選択肢を得ることができます。遺伝子治療や免疫療法は、患者さまの体力を奪うことの少ない、体に優しい治療法ですので、QOLを高めながら、がんの進行を食い止める可能性もあります。
人間は約60兆個の細胞を保つために主に下記の遺伝子(がん抑制遺伝子)が働いています。
①増殖を止める遺伝子 ②傷ついた細胞を自滅させる遺伝子 ③老化した細胞を捨てる遺伝子
遺伝子治療は①②③のがん抑制遺伝子を投与してがんを治療する、言わば自然のがん治療です。
もともと体に存在するものを入れるので副作用がほとんどないのです。